-Off Sync- (2024)
アルバム全体のコンセプトは「無常」という仏教思想に基づいており、あらゆるものが変化することを示しています。この考えは日本の文化的価値観に深く根付いています。
アルバム内の各曲は、仏教と人間の価値観の異なる側面を表現しています。
”音楽で文学作品を作り上げる”を目標に、文学作品に必要な”リスナーが共感するテーマ”と、”時代を象徴する技術”- AIを用いて歌詞やコンセプトに深みを持たせました。
ピアノ、ボーカル、ベース、シンセ、作詞、作曲、プログラミング - 泉川貴広
フィーチャリング:
ドラム、パーカッション - クリス・デイヴ (トラック: 1〜4, 7, 8)
ベース - ダニエル・ウィンシャル (トラック: 1, 7, 8)
ラップ - オスウィン・ベンジャミン (トラック: 2)
ボーカル - ジェニー・ホン (トラック: 1, 2, 4, 7, 8)
パーカッション - 二階堂貴文 (トラック: 1)
日本語ボーカル - 康伸 (トラック: 2)
アートディレクション、デザイン - アラヤ・リー
作詞 - アラン・ユー (トラック: 1, 2, 7)
プロデューサー - 泉川貴広
マネージメント - アラン・ユー、ジェニー・ホン
ミックス - 泉川貴広
マスタリング - ジョエル・カー
レコーディング - 泉川貴広
レコーディングスタジオ - Access Art Studio
1. “Raku”
この曲は原始仏教における「楽」の概念に焦点を当てています。「楽」は物質的な満足や外部の刺激から得られる喜びではなく、内側から生まれる深い平安と安定を意味します。
- 歌詞 (作詞:泉川貴広, アラン・ユー)
Though the mind knows, heart feels unsure
Living fear of what’s next, ever so real
Unsure steps in a world so wide, confused inside.
Mind at east, clarity found
Freed from the sorrows of the (crazy) world
A tranquil calm fills up the soul
The path of raku, shining bright
訳
心は理解していても、胸の奥は不安を感じる
次に何が待つのか、恐怖が付きまとう。とても現実的だ。
広い世界に不確かな足取りで、心の中は混乱したまま
気持ちが安らぎ、少しはっきりとしてきた
この世界の悲しみから解放されて
穏やかな静けさが魂を満たす
「楽」の道が明るく輝く
信頼が異なる視点によって全く違う形になってしまうことを表現した曲。
- 歌詞 (作詞:泉川貴広, アラン・ユー)
Believed in the days
Now just a dream, that slipped away
Always been like this?
Or did it change along the way?
The roses turned gray
Sparks I knew, faded away
Clubs, diamonds, and spades
But no heart and you will lose the game
訳
信じていた日々が 今では夢の中に消えてしまった
いつもこうだったのか?
それとも途中で変わってしまったのか?
バラは灰色になり
知っていた輝きも消えてしまった
クラブ、ダイヤ、スペード でもハートがなければ、このゲームには勝てない
日本語パート
浮世に 沙羅双樹 鐘の音 静寂
兵 明日には 儚く消えゆく
訳
この変わり続ける世界において、
沙羅双樹の下で鐘が鳴り、静寂が訪れる。
夜が明ければ、兵士たちは夢のように儚く消えていく。
説明
この日本語の歌詞は、仏教と日本文学の名作『平家物語』のテーマを参照しています。沙羅双樹は、仏教における無常の象徴であり、仏陀の死に関連する木です。鐘の音は人生の儚さを象徴し、平家の滅亡を暗示する『平家物語』では、鐘の音がすべてのものが無常であることを示す比喩として使われています。誰もが誰かのために命を懸けています。仲間から見ればそれは信頼や愛に見えますが、敵からは純粋な憎悪と感じられます。これは日本の戦国時代の虚しさを反映しています。
3. “Aubade”
この曲は、原始仏教の涅槃をコンセプトにしています。「Aubade」(朝の詩や歌)は、涅槃によってもたらされる平穏を、穏やかで満たされた朝の静けさに重ねて表現しています。
2. “Echoes of Trust”
仏教では、子供たちは生まれながらにして本当に大切なことを理解しているが、成長して知識が増えるにつれて本質を見失うとされています。この曲は、人生の複雑さに捉われる中で徐々に忘れてしまう、純粋な子供の知恵を描いています。
- 歌詞 (作詞:泉川貴広)
Rising with the sun, it’s shining bright
Racing through the fields in the moon's light
Laughing in the breeze, so free and light
Dreaming 'neath the starry night sky
訳
太陽とともに起きて、とても輝いている
月の光の下で野原を駆け抜ける
風の中で笑い、自由で軽やかに
そして星空の下で夢を見る
4. “Unaffected Spell” (Album Version)
世俗間的真理を通じて復讐の概念に触れ、人々の報復の欲望が想像以上に強いことに気づきます。個人的な正義や復讐が正当化されるように感じられる世界で、この曲は復讐が当たり前で当然の権利であるという考えの滑稽さを表現しています。「Curtain Call」は、復讐が本当に満足をもたらすのか、それとも虚しい勝利に過ぎないのかを問いかけます。歌詞は日本の和歌のスタイルを使い、リズムも5.3.5.3.7..と、俳句や歌に見られる奇数の塊で構成されています。
-歌詞 (作詞:泉川貴広)
恨みわび濡れて
あだしなの この世
名こそ惜しけれ
されどされどされど
秋の夜の月明けて暗くなりぬ
ふたたび立ちて絶えず思ふ我が身
訳
恨みと悲しみで溢れ、無常の世界を恨むが、
そんな時でも自分の評判が落ちてしまうことのみが気になってしまう。
秋の夜、月明かりが美しくても朝が来てすぐ暗くなってしまう。
それに落ち込んだのも束の間、また立ち上がり、常に自分の身のみを案じている。
6. “Off Sync”
無常をテーマにしたピアノソロ曲。この曲は、調和と不調和が織り交ざりながら、存在と消滅の微妙なバランスを表現しています。「Off Sync」は、わずかにズレながらも、その瞬間が意味を持つという無常の美しさと儚さを感じさせます。
7. “Muga”
仏教の「無我」をテーマにした曲です。エゴや自己執着から解放されることで得られる自由を描き、音の移ろいと重なりを通して、自我を超えた境地を表現しています。
-歌詞 (作詞:泉川貴広, アラン・ユー)
Calmness you understand?
Even if it doesn’t go, as we planned
We are just grains of sand
Selflessness you understand?, no demands
Stillness, you understand?
Even if it slips through our hands
We are just grains of sand
Selflessness you understand?, no demands
訳
穏やかな心だ、わかるか?
たとえ計画通りにいかなくても
私たちはただの砂の一粒だ
"自分自身"なんてものはない。わかるか?
何も求めるな。
静かな心だ、わかるか?
たとえ手の中からこぼれ落ちても
私たちはただの砂の一粒だ
"自分自身"なんてものはない。わかるか?
何も求めるな。
日本語パート
寄るべなく 雲が ながれ 描きありぬ
思ひ出と 夢ぞまじりて 溶け消ゆる
訳
頼るものもなく雲が流れ、形を描いては消えていく。
思い出と夢が混ざり合い、区別がつかない。溶けて消えていく。
5. “Curtain Call”
小さな失敗や疑いを決して許さず死ぬまで追い詰める、現代文化が求める完璧さ、心の狭さを取り上げています。仏教において真の平和は表面的な完璧さからではなく、内面的な自由と自己受容から生まれます。この曲は、取り繕った仮面の裏側にある抑圧された感情を”綺麗な”メロディにのせて表現しています。